【第62回 気象予報士試験 実技1】問2を徹底解説|500hPaトラフ・低気圧発達・前線解析の考え方

こんにちは!今回は第62回 気象予報士試験 実技1 問2を解説します!

今回の問2では、

  • 500hPaトラフの予想位置
  • 地上低気圧の移動方向・移動速度
  • 中心気圧変化量
  • トラフと地上低気圧の位置関係
  • 地形性降水の要因
  • 36時間後の地上前線解析

など、実技試験で重要な「上空トラフと地上低気圧の発達関係」が問われています。

特に、 500hPaトラフが地上低気圧へ近づくと、低気圧の発達が促される という流れを押さえることが重要です。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
  • 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
  • メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
  • リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
  • 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」

■ 問2(1) 500hPaトラフの予想位置

問題の要点

500hPa高度・渦度予想図から、24時間後と36時間後のトラフ位置を、5580m等高度線と交わる経度で読み取る問題です。

模範解答

24時間後:東経136°(135°も可)
36時間後:東経144°(143°も可)

◇ 解説

500hPaトラフは、等高度線が南へ谷状に垂れ下がっている部分を読み取ります。

この問題では、5580mの等高度線とトラフ軸が交わる経度を答えます。

24時間後の図では、トラフは東経136°付近にあります。

36時間後の図では、さらに東へ進み、東経144°付近に位置しています。

この図で確認するポイント

  • 5580m等高度線
  • 等高度線が谷状に曲がる位置
  • 正渦度極大域との対応
  • 24時間後から36時間後にかけて東進していること

つまずきポイント

トラフは単に「低い高度の中心」ではありません。

等高度線の谷状の曲がり正渦度域をセットで見て判断します。

■ 問2(1)まとめ

  • 24時間後のトラフ位置は東経136°付近
  • 36時間後のトラフ位置は東経144°付近
  • トラフは時間とともに東へ進む

■ 問2(2) 地上低気圧の移動と中心気圧変化

問題の要点

12時間後から36時間後にかけて、地上低気圧の移動方向・移動速度・中心気圧変化量を読み取る問題です。

模範解答

12時間後〜24時間後:
進行方向:
移動速度:15ノット
中心気圧変化量:−4hPa

24時間後〜36時間後:
進行方向:北東(東北東も可)
移動速度:25ノット(20ノットも可)
中心気圧変化量:−8hPa

◇ 解説

12時間後〜24時間後

12時間後から24時間後にかけて、地上低気圧はほぼ東へ進みます。

移動距離はおよそ180海里です。

12時間で180海里進むので、

180 ÷ 12 = 15ノット

となります。

中心気圧は1008hPaから1004hPaへ低下しているため、変化量は−4hPaです。

24時間後〜36時間後

24時間後から36時間後にかけて、低気圧は北東〜東北東へ進みます。

移動距離はおよそ240〜300海里程度です。

12時間で割ると、

20〜25ノット

となります。

中心気圧は1004hPaから996hPaへ低下しているため、変化量は−8hPaです。

計算でつまずきやすいポイント

  • ノットは「海里/時」
  • 12時間移動なら、移動距離を12で割る
  • 中心気圧が下がる場合はマイナス符号を付ける

■ 問2(2)まとめ

  • 前半は東進、15ノット
  • 後半は北東〜東北東進、20〜25ノット
  • 中心気圧変化は−4hPaから−8hPaへ拡大
  • 低気圧は発達している

■ 問2(3) トラフと地上低気圧の位置関係

問題の要点

12〜24時間後、24〜36時間後における500hPaトラフと地上低気圧の位置関係や移動速度の変化を、30字程度で述べる問題です。

模範解答

12時間後〜24時間後:
トラフは前12時間とほぼ同じ速度で東進し、西から地上低気圧に近づく。

24時間後〜36時間後:
トラフは前12時間と比べ東北東進に変わり速度を速めて、地上低気圧に追いつく。

◇ 解説

この問題は、低気圧の発達を理解するうえで非常に重要です。

地上低気圧は、上空トラフの前面にあると発達しやすくなります。

12〜24時間後では、500hPaトラフはほぼ同じ速度で東へ進み、地上低気圧の西側から近づいています。

24〜36時間後になると、トラフは東北東へ進むようになり、速度を上げて地上低気圧に追いつきます。

この結果、地上低気圧は上空の力学的なサポートを受け、発達が進みます。

記述式解答のポイント:時間変化型

どこで・いつ:12〜36時間後にかけて、地上低気圧の西側から上空で

なぜ:500hPaトラフが東進・東北東進して低気圧に接近するため

何が起きている:トラフが地上低気圧に近づき、やがて追いつく

つまずきポイント

「トラフが近づく」とだけ書くと弱いです。

答案では、どの方向から速度がどう変化して地上低気圧との距離がどうなるかを書きましょう。

■ 問2(3)まとめ

  • 12〜24時間後:トラフは東進し、西から低気圧へ接近
  • 24〜36時間後:東北東進に変わり、速度を速める
  • 36時間後には地上低気圧に追いつく

■ 問2(4) 降水量が多い地域の地形的特徴と下層風

問題の要点

南西諸島から東日本にかけて予想される降水のうち、最も降水量が多い地域について、地形的特徴と下層風の状況を述べる問題です。

模範解答

中部山岳南側の南向き斜面で、南よりの下層風が流入している。

◇ 解説

最も降水量が多いと予想される地域は、東海地方の山地南側、特に三重県尾鷲付近です。

この地域は、中部山岳の南側斜面に位置しています。

そこへ南よりの湿った下層風が流入すると、空気は山地にぶつかって強制的に持ち上げられます。

その結果、地形性上昇により降水が強まります。

記述式解答のポイント:メカニズム型

どこで:中部山岳南側の南向き斜面で

なぜ:南よりの湿った下層風が流入し、山地で強制上昇するため

何が起きている:降水量が多くなる

答案の注意

「山地で雨が多い」だけでは不十分です。

南向き斜面南よりの下層風を必ず入れましょう。

■ 問2(4)まとめ

  • 降水量が多いのは中部山岳南側
  • 南向き斜面に南よりの下層風が流入
  • 地形性上昇で降水が強まる

■ 問2(5) 36時間後の地上前線解析

問題の要点

36時間後の低気圧に伴う地上前線を、前線記号を用いて作図する問題です。

模範解答

第62回実技1問2 前線解析の模範解答

◇ 解説

前線解析は、以下の順番で考えると整理しやすいです。

前線解析の基本手順

  • 閉塞しているか判断する
  • 高層天気図から前線位置を推定する
  • 閉塞している場合は閉塞点と閉塞前線の型を判断する
  • 地上風のシアーも確認して作図する

① 閉塞しているかを判断する

36時間後の低気圧では、強風軸が低気圧中心へ巻き込むようにのびています。

さらに、寒気の流入と暖気の突っ込みも確認できるため、低気圧は閉塞していると判断できます。

この図で確認するポイント

  • 強風軸が低気圧中心へ巻き込んでいるか
  • 寒気が後面から入り込んでいるか
  • 暖気が前面へ突っ込んでいるか
閉塞判断の参考図1 閉塞判断の参考図2

② 前線位置を推定する

前線位置は、850hPaの等温線集中帯の南縁や風のシアーを参考にします。

温暖前線・寒冷前線とも、等温線の集中帯と地上風の変化を合わせて判断します。

この図で確認するポイント

  • 等温線集中帯の南縁
  • 風のシアー
  • 低気圧中心との接続
  • 閉塞点の位置
前線位置推定の参考図

③ 閉塞点と閉塞前線の型

前線の推定位置と強風軸が交わる付近を閉塞点と考えます。

次に、閉塞前線の前面と後面で寒気の強さを比較します。

今回は、温暖前線前面側の寒気の方がより低温です。

そのため、閉塞前線は温暖型閉塞として描きます。

作図では、閉塞前線が「入」の形になるように描くのがポイントです。

この図で確認するポイント

  • 閉塞点の位置
  • 温暖前線前面の寒気
  • 寒冷前線後面の寒気
  • 温暖型閉塞の形
閉塞前線の型の判断

④ 作図する

最後に、地上天気図の風のシアーも確認しながら、閉塞前線・温暖前線・寒冷前線を描きます。

前線は、単に等温線だけで描くのではなく、

  • 等温線集中帯
  • 風のシアー
  • 強風軸
  • 寒気と暖気の分布

を総合して判断します。

作図でつまずきやすいポイント

  • 閉塞しているかを判断せずに温暖前線・寒冷前線だけ描く
  • 閉塞点の位置を適当に置いてしまう
  • 等温線だけで前線を決めてしまう
  • 温暖型閉塞と寒冷型閉塞を混同する

■ 問2 全体まとめ

  • 24時間後のトラフ位置は東経136°付近
  • 36時間後のトラフ位置は東経144°付近
  • 地上低気圧は東進から北東進へ変化する
  • 中心気圧変化は−4hPa、−8hPaで発達が進む
  • 500hPaトラフは西から近づき、やがて地上低気圧に追いつく
  • 中部山岳南側では南より下層風による地形性降水が強まる
  • 36時間後の低気圧は閉塞しており、温暖型閉塞として前線解析する

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第62回 気象予報士試験 実技1 問2の解説でした!

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